Hacking is believing

我々の身体は、個性豊かな細胞たちが分化や増殖、相互作用することで臓器を形成・維持され、健やかな生命活動が営まれています。これらの仕組みを理解し制御するためには、1細胞ごとの機能を計測したり、制御したりする必要があります。

私の研究テーマは、1細胞が個性を発揮しつつ、複雑な細胞集団として機能する仕組みを解き明かす実験技術や情報処理技術を開発することです。主に、DNAシーケンス、ゲノム編集、マイクロ流体装置、機械学習、バイオインフォマティクス、クラウド技術などを駆使して研究を行っています。

私は日本唯一の自然科学の総合研究所である理化学研究所で、ゲノム科学とバイオインフォマティクスの研究チームを率いて、研究活動を行っています。我々は、身体を構成する細胞集団から1細胞ごとにその機能を明らかにするための技術開発を実施しています。1細胞ごとの機能を計測するため、1細胞ごとの遺伝子発現量を計測するQuartz-Seq2やRamDA-seqという方法を開発しました。これらの巨大なデータから様々な生命機能情報を取り出す機械学習技術にも取り組んでいます。また、複雑で大規模な科学計算環境を自動的に、かつ、再現良く構築できるクラウドコンピューティング技術の開発や提供も行っています。さらに、IT/IoTを駆使した研究チームの生産性向上についても取り組んでいます。

また、2019年より筑波大学大学院を兼務することで、バイオインフォマティクスで修士・博士を目指す学生を理研でOn Job Trainingで教育する試みも行います。

さらに、産業界や大学に向けた、ゲノム科学・バイオインフォマティクス全般、研究チームの生産性向上などの技術コンサルテーションを受け付けています。兼務やクロスアポイントメントなども可能です。これまで外資系大手製薬会社や試薬会社、装置会社、バイオベンチャーなど、十数社と共同研究や技術指導を行い、複数の製品の開発・上市に関わりました。お気軽にご連絡ください。


略歴

横浜市立大学大学院 博士 (理学)。大学院時代は、かずさDNA研究所との共同研究である海洋植物cDNAシーケンスプロジェクトや、理化学研究所(理研)マウス完全長遺伝子配列決定プロジェクトに参加し、遺伝子機能予測システムの開発に従事。このプロジェクトから得られた膨大な生命情報から、全遺伝子の働きを調べるDNA microarrayの実験・データ解析技術の開発を行う。学業と並行して、バイオインフォマティクス解析向けLive LinuxシステムKNOPPIX for Bioを開発。バイオインフォマティクスに関する多数の書籍や翻訳を出版した。

2004年に博士号取得後、埼玉医科大学ゲノム医学研究センター研究員として、遺伝子発現データと疾患の関連を解析するデータベースや統計処理技術の研究に従事。2006年より理研発生・再生科学研究センター研究員。1細胞レベルの遺伝子発現を計測・解析する技術、遺伝子発現制御ネットワーク解析の研究開発に従事しながら、研究センターでの次世代DNAシーケンス実験施設の立ち上げで、リーダーシップを取った。また、バイオインフォマティクス向け統計解析環境Bioconductorの日本初のパッケージコミッターとして、開発に参加。

2013年4月より理研情報基盤センターバイオインフォマティクス研究開発ユニット ユニットリーダーとして独立し、「インフォマティクスから始まるライフサイエンス」「新しい計測から始まるインフォマティクス」をスローガンに、実験・情報科学・工学が一体となった研究活動を実施。1細胞レベルの遺伝子発現の計測技術や解析技術の手法を多数開発した。またクラウド技術を駆使し、理研内でのバイオインフォマティクス研究環境の構築・提供する仕組みを確立した。研究開発の過程で生まれたアイディアを企業と連携し、知財化や商品開発を行い、複数の製品を上市した。

2013-2018年 日本医療研究開発機構(AMED)再生医療実現拠点ネットワーク技術個別課題の研究代表として、再生医療で利用される細胞の亜集団を検出する実験・情報科学的手法の開発に成功。2014-2017年 AMED創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業機能ゲノミクスBの研究代表を務め、世界初の1細胞完全長Total RNA-seq法を開発。2016年10月より科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 (JST CREST)に採択され、研究代表として、幹細胞の機能・命運を調べる新しい計測・解析技術を開発中。2017年7月より理研多細胞システム形成科学研究センター1細胞オミックス研究開発ユニット ユニットリーダーを兼務。

2017年より科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター基盤技術分科会委員、2018年よりJST CREST・さきがけ複合研究領域 ”ゲノムスケールのDNA設計・合成による細胞制御技術の創出” 領域アドバイザーを歴任。

2018年4月より理化学研究所生命機能科学研究センターバイオインフォマティクス研究開発ユニットに所属が変更された。2018年6月より筑波大学大学院教授を兼務。

詳細についてはProfileのページでご覧ください。